文化クリエーター 渡部元様

人間と機械の共生が、こんなに簡単に学べました

― 『電気集魚灯の存在論 ―清家政夫と一族のビジネス―』企画・制作 渡部 元 様

2026年4月30日、Amazonプリントオンデマンドで一冊の書籍が刊行されました。タイトルは『電気集魚灯の存在論 ―清家政夫と一族のビジネス―』。「電気集魚灯」という海の機械を世に送り出した一人の発明家と、その一族のビジネスをたどる一冊です。

著者名義は清家 道夫様ですが、書籍の企画・構成・執筆など原稿制作を担当されたのは、文化クリエーターとして活動されている渡部 元様(清家家のご親族)です。生成AIを活用して書籍化を進める「ソクホン」のサービスをご利用いただき、3月のご相談から約1か月で出版に至りました。完成までの経緯と、ご利用の率直な感想を渡部様に伺いました。

2026/4/30出版

電気集魚灯の存在論 ―清家政夫と一族のビジネス―

著者:清家 道夫

企画・制作・執筆:
渡部 元(文化クリエーター)

記事の目次

    ■「海と国語力」を一冊に。書籍について

    今回出版された書籍はどのような内容でしょうか?

    「電気集魚灯」という海の機械を物語の軸にしています。魚を集めるための装置ですね。これを巡って、開発者がどういう思いで、家族と一緒に作業していたのかを描いた本です。

    その中で実は、こうした現場というのは法律や知識を運用する「言葉の力」がすごく働く場でもあるんだ、ということを伝えたかったのです。

    どのような方を読者ターゲットとして設定されていますか?

    一番意識しているのは、家業や事業の継承、知的財産の扱い方に向き合っておられる経営者の方々ですね。清家政夫が起こした事業が、なぜ百年近く形を変えながら続いてこられたのか。その背景にある「言葉を運用する力」に、ご自身の事業を見つめ直すヒントを見つけていただけたらと願っています。

    御木本幸吉さんが特許戦略で名を成された一方で、政夫はあえて特許を取らない道を選びました。この対比が現代の知財や事業設計を考える上でどう響くのか、ご一緒に考えていただけたら嬉しいですね。

    加えて、海の仕事に関心を寄せる若い方や、戦中・戦後の地域産業の記憶を持っておられるご年配の方にも、世代を超えて読んでいただける構成にしました。家業を支えた女性たちの細やかな工夫が経営の屋台骨になっていた、という側面もありますので、海業に関わる女性の方にも届けば嬉しく思います。

    ■御木本幸吉と並ぶ存在を、知ってもらいたい

    一族の歴史を一冊にまとめたいと考えられたきっかけを教えてください。

    海の実業家としては、御木本幸吉さんがすごく有名です。ところが漁業水域の方で、電気集魚灯のような技術で名を残した人は、ほとんど知られていないんですよね。

    私自身、子供の頃から曾祖父である清家政夫のことはよく聞いていました。「なぜ知られていないのか」と身内に尋ねたこともあるのですが、「そんなにメジャーなものではないから」と、親戚もあまり高く評価していなかったのです。

    ただ、よく調べてみると、御木本幸吉さんと並べてもおかしくない事績だとわかってきました。それで、改めて1年ほどかけてまとめてみることになったのです。

    この書籍を今後どう活かしていきたいですか?

    まずは、家業や事業承継に向き合っている経営者の方々に届けていく活動を考えています。曾祖父が遺した「言葉を運用する力で事業を立てる」という発想は、業種を問わず響く部分があると感じています。同じように長く続く事業を営んでこられた方々と、対話を生む一冊にしていきたいですね。

    加えて、私自身の事業活動の土台としても活かしていきたいと考えています。地域行政への提案や、お取引先とのやり取りの場面で、本書を添えてご挨拶することがすでに増えています。一族が百年近く何を大事にしてきたのかが一冊で伝わりますので、こちらの考えを丁寧にお伝えする資料として、思いのほか手応えがあるのです。

    一族の歴史をまとめたつもりの一冊が、これから取り組む事業の土台にもなってくれる。そんな手応えを感じている、というのが正直なところです。

    ■「人間とどう協働するのか」を、知りたかった

    「ソクホン」を利用しようと思った理由を教えてください。

    生成AIを活用するという点が大きかったですね。キャンペーン価格だったことも後押しになりました。

    以前にも御社の書籍制作に関わったことがあったので、出版社としての安心感もありました。「これは試してみたい」と素直に思えた、というのが正直なところです。複数の生成AIを活用すると伺っていましたが、人間とどんなふうにコラボできるのか。そこを実際に体験してみたかった、というのもあります。

    「ソクホン」利用前に不安だったことはありますか?

    これまでご一緒した経験豊富なライターさんは、書き手を立てながら細やかに書いてくださる安心感がありましたので、AIだとそういった呼吸の部分まで寄り添ってくれるのかという不安はありました。理路整然とまとめただけの本になってしまわないか、と。

    ただ、今回は集魚灯や国語力といった、漁業の時代背景まで含むニッチな題材です。生身のライターさんですとどこまで踏み込んで理解していただけるかな、というのもありまして。その点、AIは時代背景や専門的な知識をネット上から幅広く拾ってきて解析してくれますので、この点では頼もしく感じていました。

    トータルで見れば、予想以上に安心して任せられたというのが正直なところです。

    ■ご相談から1か月、実動2週間で出版へ

    着手から完成までの期間は、想定と比べていかがでしたか?

    最初にサービスの説明をお聞きしたのが3月です。資料を提出して、4月の頭に取材(収録)をしていただいて、4月30日に販売開始することができました。ぴったり1か月くらいですね。

    正直に言えば、なんだかんだ言って、もう少しかかるかなと思っていました。制作に関わる手続きが、本当にこんなに早くていいのかな、と驚いたところもあります。でも、このペースでできるなら、すごく嬉しいですね。嬉しい誤算でした。

    渡部さんご自身の作業時間はどれくらいでしたか?

    資料を準備したり、あらすじを書いたりするのは、よく知っていた題材だったこともあって、1週間ほどでできてしまいました。あとは収録が2回、各章30分ほどだったと思います。その後は原稿の確認と細かな修正、タイトルと表紙の打ち合わせですね。

    収録後はほとんどお任せで出来上がってくるのを待っていた感じです。実動で2週間ほどしかなかったので、「こんなに楽でいいのかな」と思いましたね。

    制作してみて、当初の想像と違っていたところはありましたか?

    良い意味で、AIが「公序良俗」をかなり保守的に守ってくれるのだな、というのは発見でしたね。用意したあらすじや収録でお話しした内容が、丸く整えられて返ってきた箇所があって、「ここまでの表現で止めておきましょう」というラインを見せてもらえた印象です。これはいい勉強になりました。

    今回は、ご存命の方もまだたくさんいらっしゃる世代のお話だったので、配慮の効いた書き方になったのは結果としてとても良かったと思います。全体を見渡しながら細かいところを制御していくのは、やはり人間だけでは限界がある、というのもよくわかりました。

    ■「機械が書いたとは信じられない」

    お話しいただいた内容や、ご提供いただいた一次資料は、どのくらい反映されましたか?

    こちらが用意した一次資料も、取材でお話しした内容も、しっかり反映されていました。言葉は悪いのですが、不気味なくらい咀嚼していると感じたほどです。「ここまで読み込むのか」というのが、一番の驚きでしたね。

    原稿を読んだ両親からも「これは女性の方が書いたんでしょ」と言われました。「機械が書いたなんて信じられない」と。資料や著者の意向を、よくそこまで汲み取って書き起こしてくれた、というのが率直な感想です。

    原稿の確認や加筆修正のやりとりはスムーズでしたか?

    大筋では最初のリクエストを反映しながら書いていただけましたが、一つ、特に印象に残っていることがあります。

    初稿を確認している段階で、私が本文に「ある数学の概念」を書き加えたのです。私自身、その概念をこういう形で表現するのが妥当だろうという想定があったのですが、戻ってきた原稿を見ると、AIの側から別の表現が提案されてきていたんです。

    最初は「あれ、想定とは違う路線に変更しちゃったな」と思いました。ところが、自分が書き加えた表現とAIの提案を並べてみると、世間に通りが良いのは、明らかにAIの方なんですよね。「なるほどな」と思ってAIの提案を採用しました。

    AIは人間とのすり合わせがここまでできるのか、と思いましたね。これは驚きでした。

    完成原稿を手にされて、率直にどう感じられましたか?

    正直に言うと、あんまり苦労していなくて、衝撃的でした(笑)。

    「こんなに簡単にできてしまうのか」と思いましたね。修正も細々したものを1〜2回くらいで、本当にスムーズに進みましたから。

    ■「整いすぎている」という声も

    もっとこうだったら良かった、と感じる点があれば率直にお聞かせください。

    完成後、知人たちに読んでもらって、意見をもらったのです。すると「ちょっと整いすぎている」「近寄りがたい」という声が出ました。

    私自身はこういう文章に慣れているので読みやすいと思っていたのですが、もう少し作り手の素顔が見えた方が読み手としてはとっつきやすいのかもしれませんね。

    私自身は「AIだと理路整然とまとめただけの本になってしまわないか」という不安は杞憂だったと感じていますし、「女性の方が書いたんでしょ」という声もありましたが、読み手によって感じ方が異なるのかもしれません。

    ■こんな方に向いていると思います

    「ソクホン」は、どんな業種・立場の方に向いていると思いますか?

    一番向いているのは、IT関係の方だと思います。

    特に、計算機を相手にして、「ちゃんと書いているはずなのに動かない」ものと向き合っている方ですね。AIにプロンプトを出して動かす、ということに親しんでいる業界の方には、すごくしっくりくると思います。

    それから、自分の事業や活動を、当事者でありながら一歩引いて第三者の目で見ている、そういうスタンスの方。そういう方が「何か書いてみたい」と思ったときに、短期間かつ低コストで書籍を作成できる。その点で「ソクホン」はとても良いサービスだと感じました。

    ソクホンを30秒で他の方に紹介するとしたら、何とおっしゃいますか。

    人間と機械が、どう共生しているか。それが、すごく簡単に学べます」ですね。30秒もいりませんでした(笑)。

    ■「機械と一緒に本を作る」が、これからのスタンダード

    渡部さんは、今後、「ソクホン」サービスをどう活用していきたいですか?

    実はすでに、次の企画が一つ動き始めているんです。書籍に限らず、地域の事業に関わる書類づくりなども含めて、生成AIと一緒に進めていきたいと考えています。

    時間や費用が抑えられるのも大きなメリットなのですが、それ以上に感じているのは、これからは生成AIと一緒に本や書類を作っていくこと自体がスタンダードになっていくのだろうな、ということです。だからこそ、積極的に使っていく姿勢そのものが大切なのだと、今回いちばん強く感じたところでした。

    スケジュール管理ひとつとっても、人間はなかなか機械に敵わないものだな、と。丁寧に資料を集めて、あとは機械に書いてもらう。そういう選択肢が現実にあるのだと実感できたことが、今回の大きな収穫だったと思っています。

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