目的別出版企画の考え方|採用、認知度向上、売上アップ目的の本はどうつくる?
企業出版プロジェクトは、主に出版社の担当者が社長や企業の担当者に解決したい課題や事業内容についてヒアリングを実施し、それをもとに企画書を立案するところからスタートします。
企業側であらかじめ企画を考えることも多いですが、第三者の目線が入ったほうが良い企画書となるケースが多いため、出版社の担当者に見てもらうという過程は大切です。
今回は、出版の目的ごとに出版企画の考え方について解説していきます。
記事の目次
出版目的を定めて出版企画を考えよう
ラーニングスでは、企業出版プロジェクトを始める際「出版目的を明確に定める」ことを大切にしています。
出版目的は企業によって多岐にわたりますが、今回はその中でも多い
採用や社員教育(人材育成)
ブランディング(認知度向上)
マーケティングや成約率(売上アップ)
という3つの目的に絞って、どのような考え方や手順で出版企画書をつくっていくのかお話しします。
1.採用や社員教育(人材育成)目的の場合
採用や社員教育目的の企業出版の場合は、社長のこれまでの歩みや会社の創業から今までについて、また会社の取り組みや仕事への考え方をコンテンツに掲載するのが一般的です。
特に採用目的の本においては、採用したい人を想像しながらコンテンツを決め、彼らが疑問に思いそうなことや知りたいことを紙面上で表現していくことになります。
ただし、採用したい人たちに気に入られようと思って本をつくるのは避けたほうがいいでしょう。
入社してもらいたいと思いすぎるがあまり、本来の企業の姿ではなく、少し脚色してしまう可能性があるためです。
仮に、本来の姿ではなく脚色されたイメージに共感して応募、採用、入社となったらどうなるでしょうか。
入社後に「こんなはずではなかった」「思っていた働き方と違った」と感じてしまい離職につながることも考えられます。
企業にとって応募者がいないことよりも、採用してすぐに離職されてしまうことのほうがデメリットは多いと思います。
そのため企業出版で目指すべきなのは、企業の本来の姿や考え方に共感してくれる、熱量の高い応募者を集めることです。
採用や社員教育など人材に関する経営課題解決を目的にした企業出版は、特に中小企業や比較的社歴が短いベンチャー企業などにおすすめです。
中小企業は大企業のように知名度が高くなく、給料も必ずしも大企業ほど用意できないことが多いものです。
「知らない企業ということもあり大企業に比べて応募のハードルが高い」
「年収などの待遇面で勝負すれば応募してきてくれるかもしれないが、もっと良い求人があるとそちらに流れてしまう」
といった課題を感じているのであれば、知られていない自社の魅力や働き方を知ってもらい、共感して「ここで働きたい」と考えてもらうことを目指すといいでしょう。
また、比較的社歴が短いベンチャー企業やスタートアップは、これから社員が増えて成長していくことを前提としていることが多いですが、成長期には創業期のことを知らない社員が次々に入社してくることになります。
会社の創業からのストーリーやビジョン、ミッション、バリューなどを伝えなければ社員が一方向に向かいません。
社員教育目的の本をつくることで社員のベクトルが一致すれば、企業の成長はますます加速していくはずです。
ちなみに、ラーニングスでも「ビジョンブック」をつくっており、実際に社員が活用しています。
参考記事はこちら↓
企業ビジョンブックの作り方7ステップを弊社制作事例を基に解説
2.ブランディング(認知度向上)目的の場合
次はブランディング目的の出版企画の考え方を見ていきましょう。
企業出版はブランディングを目的として取り組むケースが非常に多いです。
前提として、企業活動におけるブランディングとは「他と区別できるもの」という意味で、その企業がどんな存在であるのかを認知してもらうための取り組みのことを指します。
ブランディングに成功して顧客に「●●といえば××」と認知してもらうことができれば、ビジネス上で大きなメリットを享受することができると考えられます。
企業出版でブランディングを目的とする場合には、まさに他社とは異なる、その会社独自のポジションを定めてそれを本という形で表現していくことになります。
ただ、「●●といえば××」の●●のところがあまりに大きなカテゴリーだと資金力勝負になってしまうので注意しなければいけません。
資金力勝負ではどうしても大手企業が勝ちやすいためです。
中小企業の場合は、●●のカテゴリーをニッチにする、あるいは自社独自でカテゴリーをつくってしまうといった考え方が大切です。
例えば、「採用支援」は大きいカテゴリーですが
「創業5年目までのベンチャー企業専門の採用支援」
「50歳の技術者の採用支援」
といったカテゴリーであればいかがでしょうか。
採用全体に比べてライバルは減りますし、ニッチなので大手も参入してこない可能性が高く、逆に特定の顧客にしっかりと訴求できます。
ブランディングというとコーポレートカラーやロゴ、名刺やホームページなどのいわゆる会社のイメージを想像されるケースも多く、当然それもブランディング活動の一部ではありますが、自社の強みを明確に打ち出して発信することが、特にBtoB企業のブランディングにおいて重要です。
3.マーケティングや成約率(売上アップ)目的の場合
次に、マーケティングや成約率アップを目的とした場合の企業出版の考え方について見ていきましょう。
先ほどのブランディング目的の本も最終的には売上アップを目的としていることもあり、ここでは併せて解説していきます。
説明に入る前に、まずは売上の方程式を簡単におさらいします。
一般的に売上を構成する方程式は、
売上 = 商談数(訪問数)× 成約率(購入率)× 購入単価
で計算することができます。
※購入回数(リピート数)などを計算式に入れるケースもあります。
企業出版によってマーケティングが効率的にできるようになると、売上の方程式にある商談数(訪問数)が上昇することになります。
数字が大きくなればなるほど売上が大きくなることが予想できますね。
また、成約率はそもそも売上の方程式を構成しており、こちらも数字が大きくなればなるほど売上アップにつながっていきます。
以上のことから、企業出版で売上アップを狙う際にはマーケティング力の強化か成約率の向上を狙った取り組みを実施することになります。
ここから本題に入りますが、マーケティングの基本的な考え方に「誰に」「何を」「どのように」伝えるかというものがあります。
企業出版に取り組む際には、その中でも特に「誰に」を考えてその人からの認知度や購入意欲などから企画を決めていくことで、より有用性の高い本をつくることができます。
既存の理想とする顧客をざっくりとイメージして「誰に」=●●株式会社の××さんのような人、というペルソナ設定で施策を考えることは多いですが、出版企画ではその人物についてさらに深堀りして考えていきます。
ざっくりとしたイメージである「●●株式会社の××さんのような人」というペルソナ設定に加えて、あなたの会社やサービスの認知度やどれほど買いたいという気持ちがあるのかという購入の見込み度合いまで加味して出版企画を考えていくのです。
そうして読者ターゲットを絞り、具体的にどのような内容の本をつくっていくか考えていきます。
読者ターゲットについては、グラフ付きで解説しているこちらの記事も参考にしてみてください。
企業出版の読者ターゲットは認知度×見込み度の4つの属性から考えよう
出版企画書の例と活用方法|認知度×見込み度の4つの属性別に解説
まとめ
今回は、出版企画の考え方について「採用や社員教育」「ブランディング」「マーケティングや成約率アップ」の3つの目的別に解説しました。
【出版企画の考え方まとめ】
採用や社員教育(人材育成)
自社の働き方や取り組み、魅力などをありのまま伝えて共感してもらえるような内容にする
ブランディング(認知度向上)
「●●といえば××(自社)」のカテゴリーをニッチなもの、独自のものにして発信し、自社イメージを確立できるような内容にする
マーケティングや成約率(売上アップ)
ペルソナ設定を認知度×見込み度からより具体的に考えることで「誰に」届けたい本なのかを明確にする
出版する目的によって、どのような考え方で出版企画を立てればいいのかが大きく異なってきます。
企業出版の本は、営業などのツールとして活用することが魅力の一つです。
そのため、基本的には著者ではなく読者側の気持ちを最優先に考えて本づくりを進めていく必要があります。
出版企画を立てる際に迷ったときは、常に目的と読者側の考えに立ち返るようにしましょう。
考え抜かれてつくられた企業出版の本はただの作品づくりではなく、長く事業発展のために活躍してくれる武器になるはずです。
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